これまでのアルゴスでは、プラットフォームから衛星へ向けての一方向の通信のみが可能で、衛星からプラット
フォームへメッセージを送ることはできませんでした。これを初めて可能にしたのが、2002年に打ち上げられた
日本の環境観測技術衛星 ADEOS-IIに搭載されたアルゴス衛星装置です。ADEOS-II衛星は残念ながらトラブルに
より実利用にはいたりませんでしたが、ダウンリンク機能はその後のアルゴスの衛星装置ARGOS-3、ARGOS-4
に受け継がれています。
アルゴスの送信機は、PTT(Platform Transmitter Terminal) と呼ばれていますが、ダウンリンク信号の受信
もできるアルゴス送受信機は、PMT (Platform Message Transceiver) と称されます。現在キュービック・アイ
では、日本のケンウッド社製のPMTを販売しています。

また、次の衛星に搭載されるARGOS-4では、受信機能のほか、新たな周波数帯域・変調方式が利用できますが、
この機能のすべてを利用できる、7x7mmのIC ARTICを使った新たな送信機も各メーカーが開発中です

ダウンリンクメッセージ機能によって以下のようなことが可能です。
- プラットフォームにコマンドなどを送信できます。
スイッチオン・オフといった単純なコマンドや、サンプリング間隔の変更、フロート潜水深度の指定など
ユーザからのコマンドなどのメッセージをプラットフォームに送信することができます。コマンドはアル
ゴスWEBサイトから入力します。
- 送信機の動作を効率化し、電池寿命を延ばします。
アルゴス衛星に関する軌道情報など、すべてのプラットフォームが利用できる情報が、ブロードキャ スト
メッセージとして定期的にダウンリンクされます。この情報を利用して、送信機を効率運用し、電 力を節約して
プラットフォーム寿命を延ばすことができます。
- 対話モードデータ送信で、より多くのデータが送信できます。
対話モード送信では、衛星がメッセージを受信したとき、誤りなく受信できていれば、すぐに確認メッセージを
ダウンリンクします。プラットフォームは、確認メッセージを受信すると次のメッセージを送信 します。
これまでのアルゴスプラットフォームが、同一メッセージを繰り返し送信していたのに比べ、対話モード送信
では、格段に多くのデータを送信できます。