アルゴスシステムの仕組み

  1. アルゴス送信機は、センサーデータをのせた「メッセージ」を周期的に送信します。
    • アルゴス送信機の送信周波数は401MHz帯です
    • アルゴス送信機は、60秒、90秒おき等に間欠的に送信します
    • 1回の送信時間長は0.36~0.92秒です
    • 1回の送信時に32~248ビットのデータを送信できます。 *
    • 送信機は通常24時間連続的に動作し、衛星が上空を通過するときに、送信メッセージが受信されます。
    • 動物用送信機等では、しばしば、電池寿命を延ばすため、6時間オン-18時間オフ等のタイマー制御が行われます。
    • 衛星の1回の通過時間は約10分であるため、送信間隔が60秒の送信機であれば、1回の衛星通過時に10回程度の受信チャンスがあります。
    * ARGOS-III の高速通信モードでは、最大4608ビットのデータを1回に送信できます

  2. 極軌道を周回する衛星がこのメッセージを受信します。2018年7月の時点では、6機の衛星が運用されています。
    • NOAA-15: ARGOS-2 米国NOAA
    • NOAA-18: ARGOS-2 米国NOAA
    • NOAA-19: ARGOS-3 米国NOAA (ダウンリンクサービスなし)
    • METOP-A: ARGOS-3 欧州EUMETSAT (ダウンリンクサービス中)
    • METOP-B: ARGOS-3 欧州EUMETSAT (ダウンリンクサービスなし)
    • SARAL : ARGOS-3 インドISRO (ダウンリンクサービス中)


    • アルゴスの衛星は、高度約800kmの極軌道を周回する低軌道周回衛星です。
    • 一周には約100分かかります
    • 1日で、一つの衛星は、地球を約14周します
    • 極域では、毎周回ごとに衛星が見えます。赤道など低緯度地域では、衛星の見える回数が少なくなります
    • 衛星は、その直下の直径約5000kmの円がその視野範囲に入ります
    • ある場所で、上空の衛星が見え始めてから、去っていくまで(衛星パス)の時間は10分程度です
    • 赤道付近では、6基の衛星で1日に20回強のパスがあり、極域では、6 x 14 = 84 回のパスがあります。日本の北緯35°あたりでの1日のパス回数は27回前後です。


  3. 衛星が受信したデータは、地上受信局(アンテナ)に下ろされて、アルゴスデータ処理センターにリレーされます(下図参照)
    • 衛星は、受信したデータを即時に地上に向けて送信します。衛星の視野範囲に Regional Antenna (黒字)があれば、このデータを受信できてニアリアルタイムでデータが利用できるようになります
    • CLSは、全世界で60基以上の Regional Antenna を運用しており、ほとんどのデータがニアリアルタイムで処理されます
    • 衛星は、受信したデータを記録装置に保存しておき、一周回分のデータをまとめて Global Antenna (赤字)に下ろします。このため、Regional Antenna のカバーエリア外であってもデータが失われることはありません
    • 地上受信局が受信したデータは、フランスと米国2か所にあるデータ処理センター(青地の白字)に送られ、位置計算やセンサーデータのデコードなどが行われ、データベースに保存されます
    • 2か所のデータ処理センターは、両者がすべてのデータをもち、障害時には互いをバックアップします


  4. 各ユーザは、このデータベースにアクセスして、データを利用します。
     ⇒ アルゴスデータの入手方法

  5. アルゴス-3 の新機能
    従来のアルゴスシステムは、プラットフォームから衛星に向けての一方向のシステムでした。
    しかし、ARGOS-3衛星では、衛星からプラットフォームに向けて「ダウンリンクメッセージ」を送る機能を備えています(METOP-A と SARAL 衛星でサービス中)。また、4800bps (従来は400bps)の高速データチャンネル(HD: High Data rate channel)も備えており、従来よりもずっと多くのデータ量を伝送できます。
     ⇒ ダウンリンクメッセージ機能